看護・高齢者ケアプログラム体験談・視察レポート
1月15日(水) 2日目:
研修2日目。
この日は例年のこの時期とは異なり、湿度、気温がかなり高い日でした。全員スーツを着て、ハノイ医科大学を訪問。日本の大学に留学された経験がある教授と、プログラムコーディネーターのLさんが出迎えて下さいました。はじめは、簡単な挨拶と大学の概要などについて説明がありました。その後、全員が現地の学生ボランティアの案内で、看護学部へ移動。看護学部の教授より、ハノイ医科大学の看護学部の概要や取り組みについての説明を受けました。残念ながら、看護学部の教室は旧正月前で既にお休みに入っており、殆どの教室がリノベーション中でした。工事の真最中にも関わらず、校内の案内はしてもらえましたが、実際看護学生が教室にいるところを見学出来たら、学生たちにとってはより良かったかと思います。
《ハノイ医科大学のお出迎え》
《看護学部へ移動》
《看護学部の実習室》
《現在リノベーション中の実習室》
昼食は、現地の学生も利用する食堂Canteen(キャンティーン)で頂きました。言葉は通じませんが、学生たちはそれぞれに、好きなおかずを4〜5品を指差しで選んで、ジャスミンライスの上に盛ってもらっていました。中には躊躇なく、他のブースでフォーを注文して食べていた学生もいました。普通ののり弁の2〜3倍のおかずをプレートにのせられて、200円〜250円(スープ付き)。おかずの種類も豊富で、私はお得感が満載!と思いましたが、食堂自体が少し小汚い印象があったせいか、学生たちは、「あまり美味しくなかった」という感想が圧倒的でした。日本の若い子にとって、ビジュアルは大事で、味を大きく左右するのかもしれません。味はシンプルに塩、ニョクナム(ベトナムのお醤油)ベースの物が多く、全部同じような味付けではありましたが、日本人には合う味付けだったと思います。
《食堂のおばちゃんがおかずを盛り付けてくれます》
《Canteenのおすすめランチプレート》
午後は、いよいよ学生同士の交流。ベトナムの学生は、すごく勤勉で努力家。学生たちは、特にアルバイトをしている様子はなく、朝から晩まで、将来の夢のために勉強に励んでいる様子でした。まだ海外には行った事がないけれど、二か国語が話せるように、普段から英語や日本語を自分で勉強しているとのこと。おもてなしの心は日本の学生以上で、「ベトナムの事は遠慮なくなんでも聞いて下さい。」と言って、気さくにキャンパス案内をしてくれたナンくん。将来はきっといい看護師になるのではないかと思いました。
《キャンパス案内をしてくれたナンくん》
《グループに分かれてナンくんと記念撮影》
学生同士の交流では、日本語クラブに在籍している7−8人の学生たちが、旬のフルーツをたくさん切って、お皿に盛って準備してくれました。もちろん、フサのままの丸ごとバナナも飾られていました。やはりバナナはベトナムではおもてなしのフルーツ?小ぶりの、オレンジの様なみかんも配られました。サイズは小さいですが、甘さは凄かったです。レストランで飲んでいる生しぼりのオレンジジュースは、きっとこれで出来ているのだと思います。
《沢山のフルーツとお菓子のおもてなし》
《ここでも丸ごとバナナ!?》
今回の課題は、学生同士の交流でしたので、日本の紹介をテーマ別に分けて、グループごとに、ベトナムの学生たちにプレゼンテーションをしました。トピックスは様々で、日本の四季、企業、看護、トイレ、流行っている事などについて発表しました。日本の電車通勤で、居眠りしている風景の写真などを投影した時に、ベトナムの学生たちの笑いを誘う場面などがあって、とても有意義な時間が過ごせました。
プレゼンの後は、ベトナムの学生たちから、旧正月に筆で書かれた文字をもらう、『テト』という風習を教わりました。ベトナムの学生たちは、この風習をIMSの学生に体験してもらいたいと、わざわざ書道の先生をお招きしてくださり、全員に好きな文字や名前などを書いてもらって、軸をつけて、全員にプレゼントして下さいました。街の中では、人気の書道の先生の前には行列が出来るほど。また、家族そろって書をお願いする光景も珍しくないそうです。お正月に、書を書道家にお願いして書いてもらう文化は、日本にはあまりないですが、ベトナムでは、これが旧正月の風習、文化の一つです。一般的に、新年がよい年であるようにと、願う言葉が書かれるそうです。多くの学生たちは、自分の名前を書いてもらって、記念写真など一緒に撮ったりと、貴重な時間を過ごしていました。
《書道の先生に名前や好きな文字を書いてもらっているところ》
《現地の学生と記念撮影》
書道の先生に書いて頂いている最中に、同時進行で、ベトナムの歌を披露してくれました。ベトナムの学生は本当に一生懸命、おもてなしをしてくれて、歌やダンス、民族衣装のアオザイ、伝統的なおもちゃなど、いくつものイベントを準備してくれていました。
ベトナムの学生は、準備していた音響設備にトラブルが発生して、どの様に曲を流すのか、模索していました。最後には誰かの携帯電話から曲をダウンロードして、マイクを近づけて音を出すといった原始的な方法で曲を流していました。ベトナムの学生がみんなで団結して、一生懸命、限られた時間の中でおもてなしをしようという姿勢に心打たれました。初めて聴く曲でしたが、ベトナム語と日本語を交えて、歌ってくれたメロディーは今でも心に残っています。
限られた時間の中で、言葉が通じなくても、学生同士、とても楽しい交流の時間を過ごすことができました。学生同士の交流時間は想像以上に早く、あっという間に時間がたってしまい、もっと学生同士での交流が、自由にできる時間があればと思いました。プレゼンテーションの時には、とても緊張していたIMSの学生たちでしたが、現地の学生と交流されていた時の動画や写真を見ると、学生たちがたくさん笑顔に囲まれていたことがわかります。同じ夢を目指している者同士、国境を超えて通じ合うものがあったのかもしれません。
《ハノイ医科大学の学生と記念撮影》
たくさんのイベントを準備していただきましたが、夕食の予約などがあって、残念ながら全て実施する事は出来ませんでした。書道と歌が終わった頃には、もう19時を過ぎていました。ナンくんは民族衣装のアオザイを着て記念撮影をしたい、と希望していましたが、残念ながら終了時間となってしまい、断念しました。
今回の交流会を経て、次回は、現地の学生たちとの交流時間を多く持つ事ができたら良いな、と思います。日本の看護学生にとって、キャンパスを見たり、違う国の看護学部の視察をする事も大事ですが、「国際交流」という視点で考えるのであれば、学生同士の交流に十分な時間をかけることも大事だと思いました。
カメラのレンズを通して感じたのですが、学生たちにとって、このような時間が一番記憶に残り、異文化交流になるのではないでしょうか。
2日目の夕食もベトナム料理でした。学生たちの殆どが飲み物のオーダーにも慣れてきて、各自好きなものを選んでいました。学生の中には、この旅行の目的を意識して、ベトナムでしか飲めないものを注文し、堪能している方もいました。
この日も、朝から研修を開始して、すでに14時間が経過していました。湿度が70〜80%ある中で、スーツを1日中着ていて、且つプレゼンなども実施し、体力的にもメンタル的にも疲れているはず。しかし、この日も予想とは真逆で、大勢の学生たちが夜外出しました。さすがに、引率の先生も驚きを隠せなかった様子でした。
まるで点呼の返答かのように、学生から、「シャワーが水しか出ない」との連絡がありました。アジアの国ではあるある話ですが、このようなトラブルが夜に起こるたび、学生が無事に部屋に戻ってきていると知り、安心したものです。
明朝の集合時間に、寝坊して遅れてくるのでは?という不安を残しつつ、夜は更けて行くのでした。 続きは体験記続編第3弾で。