看護・高齢者ケアプログラム体験談・視察レポート
『もしOETに合格したら、それは英語をここまで本当に頑張ったと、長く苦しいマラソンを終えた感動ゴールインの喜び。しかしオーストラリアで看護師として医療の道を歩むなら、まずは、やっとスタートラインに立ったところである!』
これは、私がOETクラスに入って、OETを受験するたくさんの仲間を見てきて、そして私自身も奮闘し、得た格言です。私は2016年9月19日(月)OET対策クラスに念願のインテイクを果たし、2017年1月6日にMelbourne Language Centre のOET対策コースを終了(卒業)しました。この約4か月、OET対策コースで学び、本当に楽しかった事、そして辛かった事、たくさんあります。全部を表現して、英語を学ぶ看護師の皆さんにOET対策クラスで勉強する面白さを伝えたいですが、まずは授業内容から科目別に語りたいと思います。
OET対策クラスでは、1週間(月~金)の時間割が決められていて、Writing, Listening, Reading, Speaking, Grammar Shopの5科目があります。16週(4か月間)でひととおりの内容を経験できます。(年間、同じ内容を3クールします。)第1週目からしばらくは、OETテストとはどのようなものかを先生が説明してくれて、割とゆっくり授業は進みます。先生達は情熱的でフレンドリーかつ的確です。私は特にReadingとWritingの時間が好きでした。課題が与えられて、(その課題・資料のことをマテリアルと言っています)試験2,3週間前のReadingは、ひたすら「時間内に」読む練習をします。(メルボルンではOETテストは月1回実施。各国からインターナショナルの看護大学の生徒が受験前に入学してくるパターンが多い:えーっそんな看護大学生が?!とビビらなくても大丈夫、お互いに刺激になります。)この、「時間内に」というのがポイントです。家でもいくらでも読む練習は出来ますが、クラス全員そろって一斉に解く緊張感。これも試験用の練習です。先生が時間を測って全体的に生徒の様子を見ていてくれます。MLCのOET対策コースは、生徒はたいてい10人~15人程度のクラスで、そのこじんまりさがとてもいいです。先生が1対1で丁寧に教えてくれるので、密に関わり合える時間が確保できます。時間内にきっちり読む練習のあとは、先生がその場で回答してくれます。クラスメイトと先生達と一緒に回答・解説するのは、自分の偏った見方・解答を修正する良い機会であり、自分ではどうしても分からない答えも、他の生徒の鋭いReading力を借りて、協力し合って正しい答えを探し出せます。
4ヶ月、お世話になったOET のレベッカ先生。本当に熱心で、分かりやすい授業をしてくださいました。クールで可愛い、皆が大好きな先生でした。
Writingでは、本番のテストの制限時間は45分です。最初の5分間は、鉛筆も手に持たずに、まず静かに問題用紙を読みます。そこには患者さんの状況が詳しく書かれています。入院時どのような状態で運ばれて来たか、術後どのように経過したか、リハビリ進行状況、退院後の注意点など。それをまとめて、相手に分かりやすい内容で必要な情報を、紹介状(看護サマリー)を書くのですが、受け持ち看護師として、転院先病院Dr.へ向けたもの(テストの設定では、看護師が医師へ書くこともある)地域の訪問看護師へ、転院先病棟の看護師長へ、ソーシャルワーカーへなど、誰に向けて書くのかも、当日の問題用紙を見るまで分かりません。それを40分以内に書くというテストです。お手紙を書くときに、フォーマルな書き方の決まりがあります。日本で言えば、拝啓、前略みたいなものでしょうか。そういうものを、英語で書くときにこうやって書くのかととても参考になりました。私は書けば書くほど、すぐ上達した事を自分で感じるので、とにかく練習してください。授業でも、時間内に書けば、その場で先生に採点してもらえます。放課後、翌日に提出してもOKです。でも次から次にマテリアルは配られるので、できるだけ溜めずにすぐ提出して、早めに採点を受けて用紙を返してもらい、復習につなげるくせをつけると効果的です。
Speakingの授業は、私は最初、一番苦手でした。苦手というより「無理!」でした(笑)この1時間半が終わると疲労困ぱいでうまく話せない自分に悔し泣きしたこともあります。先生がモデルアンサーをホワイトボードに書き出して、また印刷して配ってくれます。例えば、腹部の激しい痛みのため緊急手術を受ける患者への対応、癌でターミナル期の夫を支える妻の悲しみ・疲労を慰めるとき、今回の転倒・骨折は認知症が進行したためでもあり、これ以上母の一人暮らしは厳しいと判断、主治医から母の施設入所を勧められて心配している娘との会話、お産で自然分娩続行不可能となり緊急帝王切開をしたため、子供への負担に自分を責める母への励ましの対応、などなど。英語力だけではなく、看護師としてのスキル・ある看護場面でどう対処するかというコミュニケーション能力も求められます。具体的なシーンを想定した様々なロールプレイが組まれていて、「こういう場合にはこんな風に答えると良い」と、まず50も100も言い回し例を覚える必要があります。暗記と同様に疾患名・術式・分野ごとの専門用語は当然です。そうしないと、テストできちんとした会話ができないからです。Speakingの本番は、3分間で課題を理解し、会話をどう進めるか考えます。その後、患者役の試験管と、5分間のロールプレイをします。例えば、''Hello Mr. Smith, I'm one of the nurses in this clinic. What brings you here today?'' など話しかけて、試験の時は、自分が主体で、看護師になったつもりで、いつものように堂々と仕事してください!!英語だから難しいのではありません、ここまでくると、日本語でも、仕事で実際にどう患者さんと話して、ねぎらいの言葉をかけているか。患者さんの気持ちを否定せず、受容し共感しているか。そのなかでも絶対に必要な説明事項を分かりやすく、いつもどうやって伝えていたか。そういう事なのです、逆にOETでは話す言葉が英語というだけです。
OET 4ヶ月目、クラス最後の日。2017.1/6金曜日は、なんと生徒は4人の週?なぜならばクリスマス~お正月は生徒の皆も、ホリデーをとってたんですね~。おかげで、少人数で、濃く勉強出来ました笑(^^)
OETクラスに入ると気づきますが、他の国の生徒達と比べると日本人は話す事に割と苦労する傾向にあると思います。第二言語が英語だとか、すでに自国の大学授業を英語で受けてきた人のspeakingはかなり流暢に感じます。もちろん私達でも、何回も繰り返して口に出して覚えようとするうちに、それは次第に自分自身の言葉になります。私自身、このOET対策クラスでかなり鍛えられました!!効果的なフレーズを覚えて、あとは本気の努力で、話す力は、テストに合格するレベルまで行ける。私はそう確信しています。正直なところ、私は4か月では少し足りなかったけれど、OETに入るレベルの人なら(事前の英語レベルに寄ります)もう数ヵ月あれば、合格したかもしれないって思えます(くどいですが、個人差があります)。誤解のないように解釈をして欲しいのですが、OETのSpeakingテストにおいては文法の正確さより、流暢さのほうが重要です。私達はどうしても、正しい文法を頭で考えてしまい、その間に時間がたってしまいがちです。私の弱点がそうで、いつも先に考えて・考えてしゃべるので、どうしても会話が止まってしまうのです。これは私の課題であり、問題でした。でも先生にいつも言われた言葉です。「流暢さが一番大事だから、間違いを気にしないで、とにかく話し続けて」と。 そして会話を出来るだけ止めずに、スムーズに!がモットーだった私のSpeakingのテスト結果はCでした。
コース受講後、一体どのくらい力がついたのか、実際のテストはどのようなものかを知るため、私は、卒業翌週2017年1月14日(土) OETを初めて受験しました。結果は予想通り合格ならず、でしたが、私としては本当に頑張り抜いた4か月です。Bが合格ラインです。Aで合格するのは試験合格者の10%と言われています。Bは素晴らしいです。Cでも、「看護師として登録するまでの力でなくても「good」の意味で、すごいです。悪くはありません。試験前は、「Cでも誇り持っていいのよ!」と先生が全力で励ましてくれていました。OETは、合格後のほうが(勉強はもちろん、看護協会に登録のための書類集め、登録されて看護師として働けるまでの時間もお金もビザも)もっと大変と、合格した皆から聞きます。それに、OETに合格するかしないかだけに焦点をあてると、自分の英語がどうしてこんなに短期間でも伸びるのか!面白い!という喜びすら感じられません。国際的に集まっているクラスの仲間とせっかく一緒に学ぶ機会だというのに、友達も作ろうとせずに、とっても大事なものを逃す可能性もある。こんなに悲しい事はないと思います。少なくとも私はそう思っているので、焦らず、楽しく、楽しく。そして今、All B合格を目指して行きたいです。
クラスのなかに日本の子がいて同じ日に受験したのですが、最初、彼女はシドニーの学校で勉強していたそうで、途中からMLCに来ていました。彼女は5回目のトライで先週、晴れて合格しました。11月頃彼女が本当につらそうながらも、ガッツで頑張っていたので、私は「頼む~今回で受かって!」と思っていました。だから彼女が受かって、本当に嬉しかったです。シドニー時代から今回合格するまで、試験対策を真剣に取り組んで1年かかったそうです。他のクラスメイトも、数回トライして合格していった人が多かったです。つらいのは勉強する事自体ではないと、気持ちが、メンタルな部分がつらいのだと。クラスで受かった人がいたら、皆が自分の事のように喜んでいました。それにしても皆タフで、本当にマラソンだなって思ったのです。持久力が必要です。たくさんの人が、一生懸命走る。自分も苦しいけど、周りの人が頑張っているから、また私も続けて走れる。途中歩いてもいい。でも諦めさえしなければ、絶対にゴールインできる(合格できる)テストだと私は思いました。中にはスピードを競う人もいました。予算の事もあるし、早く受かるに越した事はありません。でもそれだけが大事ではないと私は思うし、基礎の下積みと努力がなければ早く受かるなんて無理と思います。ほとんどの人がレース中、人に手を貸せる余裕がありません。周囲に無関心で、パワー温存のため静かな人もいます。ギブ&テイクをしない人もいます。共有しない、教えない人もいました。(ギクシャクした雰囲気のクラスの時もあった?)でもそれはその人が冷たいというより、自分の事しか考えられていない状況です。もう本当に余裕がないのだと思うと、それもまた許せます。だけど、世の中にはやっぱり情熱あって良い人っているのです。上には上が。友達になった皆に「頑張れ!」と肩をポンポンとたたいて笑顔を振りまいて、自分はまた走る。All A (except for reading)で合格したすごい人物に出会いました。彼はミャンマー出身のDr.でしたが、国境なき医師団のスタッフとして9年間、医師を実際にして来た人でした。彼は「自分の置かれて来た環境は、いつも問題の多い事ばかり。でもそれを乗り越えてきたから、こうして友達になった皆に受かって欲しい。だから僕の出来る限りで皆を助けるよ!」が口癖でした。格好良すぎました素晴らしい!!!!!彼にはたくさん助けてもらいました。
OET に入って2カ月。この日は、仲良くなったクラスメイトが4人卒業して記念の一枚。先生の隣の男の人が、例のミャンマーからのDr.です!落ち着いた雰囲気あります!
クリスマスの週の、金曜は!たまには気分転換☆学校のイベント、クリスマスランチ。学校の近くの公園で、OETクラスメイトと先生達。ピザたらふく食べて、ジュースにゲームに楽しみました。
ホームステイ先の家族、親戚のクリスマスパーティ。『私はクリスマスホリデー中も図書館で毎日勉強するつもり』と言ったら、『そんな事はあり得ないから、ついて来て』と、ホストマザーに連れて行かれました(^^;; 楽しかったです! 休む日は休むとメリハリつけないと、留学中、心も体力も持たないよとホストファミリーに教えて頂きました。
私は、今回のOET留学中に、老人ホームでボランティアをしました。期間は3ヶ月間。週2回、1時間半、お年寄りの方々と接したました。OETで習ったフレーズも、しっかり使ってコミュニケーション。
クラス最後の日、わたしのためにみんなで送別会。KFCへ!ファーストフード系は、日本よりかなり値段が高いと思います。ずっと我慢していたチキンにかぶりつき笑☆彡
OET対策クラスで勉強した後、この成長した、改善した自分の英語を使って、どうしたいかという事が一番考えるところです。看護師経験をもって医療英語を学び続けてきた自分。出会った人のほとんどの人がOET対策クラスのあとの目標を持っていました。漠然と、英語を使って仕事をしたいという気持ちは以前より変わりませんが、私はまた例の「どうしたいかまだ具体的に決まっていない人」です。ただひとつ今、誓える事は、このあとも絶対に今まで8年間の努力、体験、英語学習への情熱を何かに活かせるよう、生きていきたいということです。楽しみながら。
長く体験談を読んでいただき、本当にありがとうございました。私の体験談は、これでいったん終了です。英語が好きで深めたい、スキルアップしたい。英語を楽しんで勉強したい。海外に行ってみたい。英語でプロフェッショナルを目指したい。どんな理由であれ英語学習に興味を持ち、または留学、移住を将来的に考えるそんな皆さんの何か考えていることに、この文章がどうか役立ちますよう心から願います。
2008年からの2年間の留学体験談はこちら>> 【Part1】・ 【Part2】・ 【Part3】
2016年2月~5月の短期留学体験談はこちら>> 『6年ぶりのメルボルンへ』