看護・高齢者ケアプログラム体験談・視察レポート
1996年 労働福祉事業団 関西労災看護専門学校 卒業後、労働福祉事業団 神戸労災病院、神戸大学医学部附属病院、夢創工房なぎさ訪問看護ステーションに勤務。2008年1月から2008年12月までメルボルンでの長期研修に参加、2008年12月より夢創工房なぎさ訪問看護ステーションに復職。
私がこのオーストラリア研修に参加しようと思ったきっかけは、この研修に参加してよかったという感想を同僚から聞いたことです。特にオーストラリアの訪問看護は日本よりすすんでおりとても勉強になったという話は、将来訪問看護の道にすすみたいと思っていた私にとって、非常に魅力的なものでした。
この研修への参加を決心してから、オーストラリアの訪問看護を学ぶ前に、まずは日本の訪問看護がどのように行われているのか知っておこうと思い、今まで勤めていた大学病院を退職し、訪問看護ステーションでしばらく働くことにしました。また、私は学生の頃から英語が苦手でしたので、英会話スクールにも通い始めました。しかし、そのレッスンの成果も上がらないうちに、あっという間に留学の日がやってきました。
メルボルン・ランゲージ・センターに入学して、まずは一般英語コースから英語を学びました。日本人は私一人で不安を抱えながらの出発でしたが、クラスメイトはとてもフレンドリーで授業以外でも気さくに声をかけてくれたので、すぐにクラスに溶け込むことができました。仲のいいクラスメイトができると、もっと話せるようになりたいと思うようになり、英語の勉強にも自然と力が入りました。先生の指導はわかりやすく丁寧で、授業以外でもわからないことがあればいつでも親切に教えてくれました。また授業ではゲームを取り入れたり、アクティビティーを通じて楽しく英語を学ぶことができました。こうして、クラスメイトとも積極的に話せるようになり、下から2番目のM3Bからスタートしたクラスも順調にM5までレベルアップしました。クラスメイトはベトナム人、スイス人、ドイツ人、インド人、韓国人など多国籍で、その国々の文化についても知ることができました。一般英語を学んだ後、1ヶ月だけでしたがOETクラスで医療英語を学びました。最初は授業についていけず落ち込んだりもしましたが、この時期に医療単語を覚えたことが、その後の実習に参加した時にとても役立ちました。
Nursing Classでは、病院見学や講義を通じて現在のオーストラリアの医療を知ることができましたし、地元看護師と触れ合えたことで、医療に対する考え方も生の声として知ることができました。オーストラリアと日本の違いを知ることで、それぞれの国の良い点と悪い点が私なりに分かったような気がします。この貴重な経験をこれからの自分の仕事に活かしていきたいと思っています。
今回の留学について話すとき、忘れてはならないのは、何よりもアットホームなすばらしいホストファミリーに出会えたことです。日常英会話もままならなかった私を温かく迎えてくれ、家族の一員のように接してくださったことには感謝の言葉が見つかりません。このすばらしい出会いに恵まれたおかげで、私の留学生活が実り豊かなものになったと言ってもいいくらいです。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。また、メルボルンのオシャレな街並み、さまざまな国の美味しい料理、そして住んでいる人もフレンドリーで大好きになりました。メルボルンは、海外における私の故郷です。
留学したことで、少しですが英語も人としても成長したと思います。海外を知ることで日本のいいところを改めて実感し、日本人として日本のことをもっと深く知りたい、そして多くの海外の人々にそれを伝えていきたいと思いました。この研修で学んだことを、日本の医療の発展へと結びつけて貢献することができたらいいなと思います。
研修施設 Monash Medical Centre McCulloch House(Palliative Care)
研修期間 2008年10月20日~10月24日(1週間)
感想 ここはいわゆる緩和ケア病棟です。今までホスピスで働いたことはないのですが、訪問看護でもターミナルケアをするので学ぶことは多かったです。病院という感じではなくグループホームのような施設で、重苦しい雰囲気はまったくありませんでした。疾患や症状にあわせた疼痛コントロールの方法や、アロマオイルを使用した清拭、多国籍ならではの病院食の種類の豊富さ、そしてワインなどのお酒も出るところは、とても興味がもてました。
研修施設 Royal Melbourne Hospital(HITH)
研修期間 2008年10月27日~10月31日(1週間)
感想 日本の訪問看護にはないシステムで、これを日本に導入できれば、限られた病床を入院が必要な患者さんにもっと有効かつ効率的に割り当てることができると思いました。オーストラリアでは、1ヶ月以上の長期入院となる場合は地域の訪問看護施設に移行します。病院と地域の連携が密になされている点は、日本ではできていない良いところだと思います。バックアップが病院であることは、患者さんにとっても心強く、術後でも安心してすぐに在宅に戻ることができるのだと思います。
研修施設 Royal District Nursing Service
研修期間 2008年11月10日~11月21日(2週間)
感想 ここでは、長期にわたり在宅での看護が必要な人をケアしています。日本の訪問看護に似ていますが、大きく違う点は政府が必要な地域に事業所を設置するところです。一定の距離ごとに設置されているため、日本のように過疎化の地域にはケアしてくれる事業所がないというケースはなく、住み慣れた土地でケアを受けられることは患者さんにとって大変重要なことだと思います。記録や情報交換にはノートパソコンを使用しており、スタッフの誰もがすぐに情報を閲覧し交換ができることは、迅速かつ的確な看護の提供に貢献していると思います。また、術後の抜鈎を医師ではなく看護師ができることは驚きました。このような良いところを日本の訪問看護に活かせていけるように、今後は日々努力していきたいと思います。