看護・高齢者ケアプログラム体験談・視察レポート
日本で看護師を始めて8年目、ほとんどの時間をクリティカルケア領域で過ごしてきました。看護師の仕事が好きで現場や学会で忙しい日々を送っていました。そんな時、ちょっとした転機が訪れ、少し臨床を離れることになりました。
でも、ただ離れるだけじゃもったいない!この離れている時間に今しかできない経験がしたい!と思い看護研修を探していました。海外には元々興味があり、いつか海外の医療に触れてみたいという想いはずっとありました。でもだからといって1年単位で海外留学する勇気はなく…でも1週間じゃもの足りない…また個人的な好みでオーストラリアやカナダではなくアメリカで探していました。
そんな時、この研修プログラムを見つけました。出発時期も滞在期間もある程度自由!しかもハワイ!英語ができない私にとって、ハワイへ一人で行くのはそんなに不安がありませんでした。そしてトラベル・パートナーズさんに相談に。担当の萩田さんはとても話しやすい人柄で、すぐこのプログラムに決めました。出発時期や滞在期間なども色々相談に乗ってくださり、常に有意義な滞在になるように考えてくださいました。
出発まで2ヶ月。英会話に通ってみたものの、そんな短期間で上達するわけもなく…英会話力は皆無に等しかったです。苦笑
いざ研修スタート。コンドミニアムはクリニックから徒歩5分。周りには大型スーパーやアラモアナショッピングセンターがあり、生活環境はとても良かったです。ハワイには何度か行ったことがあったので、なんとなくの土地勘もすぐにつかめました。
クリニックは、院長先生始め看護師さんたちも、日本の方が中心です。来院する患者さんも、ハワイ在住の日本の方が中心でした。院長先生の診察のシャドーイングをさせてもらいますが、診察内容が日本語でひとまず安心しました。笑
救急やICUで勤務していた私にとって、外来診療はとても新鮮なものでした。先生の診察内容、看護師さんの対応に日々感動し刺激を受けながら、少しずつハワイでの医療体制を学んでいきました。外来患者さんの問診も見学させていただきました。先輩看護師から外来初期診療での問診のポイントをレクチャーして頂き、実際の診察がスムーズに進むようアセスメントして行く過程が学べました。クリニックの方々は、皆さん本当に優しくて親切にしてくださいました。
外来が始まる前の朝の30分、先生がプチお勉強会を開いてくれます。それは毎日フォーカスを変えて、ある時は病態について、ある時はワクチンのことについて、またある時は画像診断についてなどです。
実際に患者さんの診療内容から事例検討のような話をしてくださるので、実際に診察のシャドーイングをしている私にとっては、先生がどのような観察をして、判断をして、薬剤コントロールを選定しているのか結びつけることができました。
またワクチンの知識などは身近でなかった医療の話も聞けたりと、とても興味深く有意義な時間でした。
アラモアナビーチパークの昼間の様子。観光客が少なくて波も穏やか。のんびり過ごしてる方が多いです。
こちらの高~いビルの最上階がクリニックです。
院長先生の診察室からの眺め(工事中ですが)患者さんの目線からこの景色が見えて、とっても癒されます。
クリニック受付からの夕陽
クリニックでの研修最終日、コンドミニアムからの朝陽。とびきりの朝陽に見送られてる気持ちになりました。
小林先生はじめ、お世話になったクリニックの先輩方!本当に皆さん良い方ばかりでした!
クリニックでの送別会へも一緒に参加させて頂きました。
6週間の滞在の中でタイミング良く日本の初期研修医の方と研修が重なり、図々しい私はその方々とクリニック外部での研修に同行させていただきました。その中にはHawaii DMATでの研修やThe Queen's Medical Centerの見学をさせて頂いたりと日本でも災害医療に少々携わっていた私にとっては憧れの医療機関で研修することができました。
またクリニックでお世話になっていた先輩に、外部での講義に誘って頂いたり、先生にも新薬の講義に誘って頂いたりし、クリニックの研修以外にも多くの勉強の機会に恵まれました。
タイミングに恵まれ富山県立病院からの研修医の方々の研修に同行させて頂き、Queens medical hospital へ。
hawaii DMATでの研修
hawaii DMATでの研修
hawaii DMATでの研修
hawaii DMATでの研修
ハワイでの生活は日本とは真逆で…街全体がゆるりとしています。日本では夜勤もしており、看護師になってから規則正しい生活なんてしたことはありませんでしたので、初めての平日勤務!毎朝早起きして近所のビーチパークを走り、帰宅してシャワーを浴び、朝食をとり、クリニックへ行くという何とも規則正しい生活をしていました。
そこのビーチパークは1日を通してランニングしている人が多くいるので、環境的にもランニングが続けられました。薄暗いうちから走り出し、徐々に明るくなっていき、朝陽を浴びながら家に戻る。なんとも清々しい1日の始まりです。
クリニックでの研修は午前中で終わるので、午後は家で勉強したり、友人と出かけたりもしました。自然が好きな人にとってハワイは、やはり言葉では言い表せないほど素敵な場所です。少し足を伸ばせば癒しの景色が数え切れないほどあります。トレッキングをして風を浴びたり、滝を見に行ったり、週末は先輩にファーマーズマーケットへ連れて行ってもらったりと、観光も掻い摘んで楽しみました。家で勉強してる時間も多くありましたが、新しい知識が増えるのはもちろん、自分の知っている知識を英語に置き換えて学ぶこともまたとても興味深く楽しかったです。
コンドミニアムの部屋からは夜景がとても綺麗で、夜は夜景に癒されながら、勉強もはかどります。平日の朝は、日の出前に起床しますが、週末は少しのんびり起きます。そうすると部屋にはとても元気のいい朝陽が入り込んできて、その光で目覚めるといったなんとも幸せな居住環境でした。部屋はWi-Fi完備。PCも日本の友人ともいつでも繋がれます。そのおかげかホームシックにはなりませんでした。
またワクチンの知識などは身近でなかった医療の話も聞けたりと、とても興味深く有意義な時間でした。
コンドミニアムからの夜景。この夜景が綺麗で夜も勉強がはかどります。
午後はフリータイムなので時にはトレッキングをしに行ったり
滝を見に行ったり
ウミガメを見に行ったり
家から徒歩10分のアラモアナビーチパーク。だいたい朝か夕方にランニングしていました。薄暗いうちから走り出して徐々に明るくなっていく空を見ながら1日のスタート!気持ちのいい1日の始まりです。
アラモアナビーチパークの昼間の様子。観光客が少なくて波も穏やか。のんびり過ごしてる方が多いです。
アラモアナビーチパークでのサンセット。ここはマジックアイランドと呼ばれホノルルの中でもサンセットが綺麗に見られると評判です。この時間もランニングしてる人がたくさん!
天気が不安定で雨が多かったので虹もたくさん見れました。
サンセットが好きなので、色々なところからのサンセットもたくさん見れました。
前後しちゃいましたが) 近場の公園にはハワイ沖で衝突し沈没したえひめ丸の慰霊碑がありました。
ハワイと日本の医療体制を比べ、日本もこうであったらいいのに、と思うこともあります。でも逆に日本の医療体制や保険制度に救われている部分も多くあるのだと気付かされました。海外への憧れが強いと、海外での出来事が全て良き出来事に思え、海外の制度すら正しいと思ってしまいそうになりますが、もちろん日本にも日本独自の他国に劣らない誇れるものが数え切れないほどあります。海外での滞在経験は自国愛を深めてくれる糧にもなるのだと感じました。
私は誇れる学歴もなく一般教養も人並みです。看護師しか仕事の経験はなく、また看護師以外の仕事は向いていないと、この仕事が天職であるとも感じ、クリティカルケア領域の看護師であることが自分の数少ない誇りでした。研修に参加を決めた頃の私は、大好きだった現場から離れることになり、この先の看護人生について悩んでいました。何かヒントでも掴めれば…環境を変えた時、自分の感情がどう動くのか…と何かを動かしたい気持ちで研修に参加しました。研修で得たものは、ほんの少しの海外の医療知識とクリニックでの方々との出会いです。学校に通うのや短期での病院研修とは違い、同じタイミングで同じ目的を持った仲間との研修はありませんでした。クリニックでの研修者は私ひとり。自分から率先してコミュニケーションをとり、学べるものを探しにいこうという想いでした。その気持ちに応えてくださるようにクリニックの方々はいつも協力してくださいました。英語のできない私ですが、アメリカ人医師に診察のシャドーイング(会話の内容は1割程度しか理解できていない気がしますが…)もさせて頂いたりしました。研修プログラム以外の経験はクリニックの先生、先輩方の協力なしには得られませんでした。
前述通り、私は英語ができません。しかし研修も後半になると先生に外国人の患者さんが来た時、なんとなくですが診察内容を理解できるようにはなってきました。クリニックで多くみられる症状や疾患、ワクチンの説明など。日本語でたくさん聞いてきた同じ説明。自宅でクリニックでよく使う単語を勉強していた甲斐がありました。もちろん、看護師として現場で通用する程ではありません。しかし1ヶ月前ちんぷんかんぷんだったことが、なんとなく理解できるようになったのは、この上なく嬉しい体験でした。
今はまだこの先の自分の看護人生の道筋は検討中ですが、この体験を通してもう少し勉強したいという想いが強くなり、NCLEXを受けてみることにしました。研修への参加を決めた当初は、そんなことは夢のまた夢…と思っていましたが、ここのクリニックにはそんな私の無謀な挑戦を応援してくれる方がたくさんいます。何か歩み出せば何か必ず得るものがある。そう信じてこの研修に参加して本当に良かったと思います。
同ビル3階の放射線科にて研修させて頂いた時の一枚
無事に?研修を終え、最後の週末は友人とハワイ島へ。 最後の最後に観光もしっかり楽しんできました。ハワイ島はオアフ島とまた違った自然の形があり、力強さをとても感じました
長期ではいく勇気がない、金銭的に難しい、職場環境的に難しい…など行きたくても皆さん事情がそれぞれあると思います。1週間という期間なら他国の病院見学の研修などもあると思いますが、もう少し長く行きたい、とりあえず海外の医療に触れてみたい、のんびり海外体験がしたい、など多くの方の要望に合わせてプログラムが組めると思います。必要なのは学ぶ意欲、それだけだと思います。私はそれだけでした。笑
どんな期間の海外研修でも普段と別の環境に身を起き体験することは、必ず多くのものを得られると思っていますし、私自身また行ける機会があったらと思っています。少しでも興味があるなら、まずは相談してみてください!私の担当の萩田さんは決して業務的でなく、私の意見をたくさん聞き、最善策を考えてくださる方でした。他の留学、海外研修会社にも相談に行きましたが、萩田さんの人柄がとても魅力的だったのもこの研修を決めたひとつの理由です。
この場をお借りして…私のわがままな渡航プランを練ってくださった萩田さん、トラベル・パートナーズの方々、研修に携わって頂いた全ての方々に御礼申し上げます。