看護・高齢者ケアプログラム体験談・視察レポート
スウェーデンにある人口14000人の小さな町、レクサンド市に行きナースに会いました。お会いした方は、公立の高齢者ケア施設の看護部長。ナースの生活に関わるお話を色々伺ってきました。準看で30年の実働経験者。現在のお給料は、年間2.4万クローネ(約432万円)とのこと。ナース(準看の初任給は、給料1.4万クローネ(約252万円)。
ナースになるための教育は、RNは、高校+3年間専門教育。準看は、高校+1年間専門教育で、ナースの75%が準看とのこと。更に、中学+1年間専門教育のアシスタントナースがいます。
宿泊ホテル経営のご夫妻とMr.戸塚
夏の約1ヶ月を休暇とするのが当たり前のこの国では、ナース達ももちろんしっかりととります。ナースの有給休暇は、40歳までは年間5週間。41歳以上は、6週間です。7月になるとこぞって休みをとりますので、どうせ入院するなら7月は避けたほうがいいのではと考えてしまいます。もちろん、派遣ナースやパートタイムのナースも多数いますので、病院としては、この時期でも必要数のナースはきちんと確保されていますでの、心配することはありませんが。夏は4 週間、冬は1~2週間という休みの取り方をするナースが多いようです。この国ではサマーハウス(セカンドハウス)は5軒に1軒のファミリーが持っていて、湖水や海のレジャー用ボートは一般に6人に一人が所有しているそうです。
あえて質問をしてみました「アノ、そういう夏休みの期間中に、よその病院でアルバイトをするという方はいますか?」、質問を受けたナースは一瞬唖然とした顔をしてから真面目な顔で「有給休暇はしっかりと取るものです。休暇も人生の大切な部分なのですから。」「……ハイ、分かってはいるのですが・・・・」日本のナースたち!頑張ってもっと長い休暇がとれるようになりましょう!もっともナースだけに限りませんが・・・・
病院は、公立大学(日本で言えば県立病院)と大学病院が中心で、私立病院は極少ないです。
健康保険料の42%は勤務先が負担、本人負担は58%。医療費の本人負担額は、初診料100Kr(約1,800円)、年金生活者は50Kr(900 円)、 最高額は年間900Kr(16,200円)まで。それ以上は無料となります。救急車代の個人負担はありません。入院費は1日80Kr(1,420 円)ケア代込み。
スウェーデンと言えば税金が高いが福祉が手厚い、いわゆる高負担高福祉の社会。特に高齢者達にとっては理想的な国というイメージが強いのですが、最近の原油高による物価の上昇が年金生活者たる老人達の生活費を圧迫しているようです。
物価はここ2年で20%も値上がりしたとのこと。税金 平均32.75%ナースの平均年収は約23万Kr(約414万円)で、税金は32.75%。 年収金額だけを比較すると、日本のナースよりも低いかもしれません。国税は累進課税で平均30%。社会保険は100%雇用主払い(雇用者納税令)で、給与の33%。で、この分を含めると、ほぼ税金は52%となります。
こんなに税金を払うと自ずから税金が有効に使われているか、政府の政策には関心が高くなるわけですが、民主主義と機会均等を目としたこの国の政府は、女性の発言権は非常に高く、現保守党349席の女性議員は47%、大臣は男女半々です。
日本との違いは、教育費が小学校から大学まで無料で、教育費の負担が少ないこと。そして、住宅費が低いことです。家は、木造も多いですが日本と違って湿度が低いので長持ちするし、古い住宅を内装工事だけして新しく使う人が多いため、平均すると家(一戸建・マンションも含めて)の値段は平均1,200万円くらいです。共働きも多い。
つまり、50%以上の税金を取られても、住居が安く、教育費用、医療費、福祉費用の負担が少ないので、物価が日本よりも高くても余裕を持って生活をしていけるというわけです。
消費税は25%。ただし、食料品は12%、本書籍(教育関連)7%です。物価は本当に高いです。ガソリン1リットル13.65Kr(265円)。人件費のかかるサービスを受けると、ことさら高くなり、普通のレストランで、ビール50Kr(約950円)、ワイン1杯70Kr(約1,330円、ワインは、南ア、アルゼンチン、チリ、スペイン産)、コーラ1杯27-30Kr(約 570円)、夕食代は3コースで4500円から8000円です。と言うわけで、スウエーデンのナース達も物価高をやりくりしながら、頑張っています。
(付記:換算率2008年9月は、1スウエーデンKr=約18円でした。)
施設の外観
高齢者ケア施設のナース達
施設内の様子(食堂)
ダーラム地方おまもり木馬
<記:トラベル・パートナーズ 代表取締役 戸塚雄二>